卓上IHの不満で一番多いのは音。運転音を書いているのは1社だけ

いちばん多い不満は「音」でした。運転音を書いているのは1社だけ。4台すべてに 音の不満 が出ていた。道具しらべの比較記事のアイキャッチ

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カセットコンロと卓上IHで迷い、「火が出ないほうが安心」で電気にしました。そこで比べたのが、実売6,000円台から1万円台前半の1口タイプ4台で、見る点は使える鍋の条件・揚げ物の温度・運転音の3つ(火力のWは後回し)です。買う前に想像していなかったのが、加熱中ずっと回るファンの音と、揚げ物モードでも油が設定温度に届いたか分からないことでした。ファンの音への不満は、今回比べた4台すべてのレビューに出ていました。

運転音を公表しているのは4社中1社だけ。パナソニック KZ-PH34-K は約25・33・38dB、ほかの3台は公式の仕様欄に記載なし

卓上IHより、ガス火が向く人

  • 手持ちの土鍋を使い続けたい人。IHは鍋の底に電気を流して発熱させるため、陶磁器の土鍋は原則として使えません。「IH対応」の土鍋は、底に金属板を貼った別の製品です。
  • 停電のときにも使いたい人。卓上IHは電気が止まれば動きません。防災の備えなら、ガスのカセットコンロか、ポータブル電源とのセットで考えます。
  • 鍋を囲んで静かに話したい人。ファンの音は避けられず、いちばん静かな1台でも無音にはなりません。音が一切気にならないことが条件なら、いまのところガスが向いています。

鍋・揚げ物・運転音の見方

使える鍋は、材質と「底の直径」で決まる。使えるのは鉄・鉄鋳物・鉄ほうろう・ステンレス・多層鋼で、直火専用の土鍋・耐熱ガラス・アルミ・銅は使えません。鍋底に磁石がつくかどうかが目安です。「IH対応」の土鍋やホーロー鍋は底に鉄を仕込んであるので使えますが、同じシリーズに直火専用とIH対応の両方があることもあるため、箱か底の表示で確かめてください。見落としやすいのが底の直径で、小さすぎる鍋も大きすぎる鍋も受け付けません。ドリテック DI-217BK は10〜16cm、山善 YEN-S140 は12〜26cm(揚げ物は18〜22cm)で、ドリテックには26cmのフライパンが載らず、山善には10cmの小さなポットが反応しません。さらに底の平らさも条件で、反りの許容は加熱調理で3mm以下、揚げ物で1mm以下とされています。持っている鍋の底を測ってから選ぶのが結論です。

揚げ物は、機種によって「できるか」から違う。ドリテックには揚げ物モードがなく、温度設定は60〜100℃までで、油の温度域に届きません。パナソニックは揚げ物に別売の天ぷら鍋(KZ-T1K)を指定していて、レビューにも「普通の鍋でも使えると思って買った」という声があります。低温側は、コイズミとパナソニックが140℃から、山善が150℃からです。

運転音は、数字を出しているメーカーが1社しかない。パナソニック KZ-PH34-K は、3段階で約25dB・約33dB・約38dB(最大火力時が約38dB)と公表しています。残る3社は公式の仕様欄に記載がなく、買って電源を入れるまで分かりません。レビューでは、コイズミに「騒音、それがすべて」という投稿があって12人が役に立ったと評価し、購入者が騒音計アプリで測った報告(火力中・距離10cmで約70dB、個人の計測なので参考値)もあります。ドリテックは「IH炊飯器のあの音」、山善は「これまで使ってきたIHの中で一番うるさく感じた」という評価です。一方パナソニックには、買い替えて驚くほど静かになったという声が並び、価格差のかなりの部分はここに出ていると考えてよさそうです。ただし「キーンというモスキート音が耳障り」という指摘もあり、IH特有の高い音は残ります。

音と鍋底の大きさで4台を並べる

対応する鍋底の直径。ドリテックは10〜16cm、山善は12〜26cm。コイズミとパナソニックは Web の仕様欄に記載なし

機種 価格 揚げ物(油温) 運転音 対応する鍋底
山善 YEN-S140 約7,480円 6段階 150〜200℃ メーカー公表なし 12〜26cm(揚げ物18〜22cm)
コイズミ KIH-1406/C 約6,773円 7段階 140〜200℃ メーカー公表なし Web仕様に記載なし
ドリテック DI-217BK 約6,723円 不可(定温は60〜100℃) メーカー公表なし 10〜16cm
パナソニック KZ-PH34-K 約10,836円 140〜200℃(専用鍋を指定) 約25/33/38dB Web仕様に記載なし
くわしい仕様を見る(評価・消費電力・加熱の段階・タイマー・サイズ・質量)
機種 Amazon評価 定格消費電力 加熱の段階 自動コース タイマー 本体サイズ 質量
山善 YEN-S140 ★4.3(3,633件) 1400W 6段階(300〜1400W) ― なし 幅29×奥行35×高さ4.8cm 2.5kg
コイズミ KIH-1406/C ★4.0(40件) 1400W 6段階(保温あり) 煮込み 1分〜5時間59分 幅28×奥行29.5×高さ5cm 1.8kg
ドリテック DI-217BK ★4.2(1,272件) 1000W 10段階(100〜1000W) 定温9段階(60〜100℃) ― 幅20.5×奥行20.5×高さ5cm 1.5kg
パナソニック KZ-PH34-K ★4.4(1,734件) 1400W 7段階 炊飯(1〜3合)・煮込み 1分〜9時間30分 幅30.4×奥行34.5×高さ5.4cm 約2.5kg

価格・評価はAmazon掲載値、仕様は各メーカー公表値で、いずれも執筆時点のものです。

コイズミはレビューが40件と少なく、不満の傾向を読み取るには母数が足りません。

対応する鍋底の直径をWebの商品ページに書いているのは山善とドリテックだけです。コイズミとパナソニックは取扱説明書には記載がありますが、Webの仕様欄では確認できませんでした。

Amazonの仕様欄は当てになりませんでした。山善 YEN-S140 の対応鍋底を「12〜22cm」としていますが、それは同社の1000Wモデルの値です。表はメーカー公式と公式楽天店の仕様欄で取り直しています。

生産国を明記しているのはパナソニック(日本製)のみで、他の3台は公式に記載がありませんでした。

4台を食卓に置いたつもりで見る

山善 YEN-S140

向く大小いろいろな鍋を1台で回したい。キッチンでもう1口として使う。

向かない食卓に置いて静かに使いたい。タイマーで放っておきたい。

対応する鍋底は12〜26cmと、4台でいちばん幅広い。

26cmのフライパンも18cmの鍋もこれ1台で足り、1400Wの立ち上がりが速く「ガス火と遜色ない」という声が複数あります。天板は一枚のパネルで拭くだけ。3,633件で★4.3と、いちばんレビューが厚い1台です。弱点は、音(先に書いたとおり)に加えて、タイマーがないこと、加熱ボタンを押すといきなり最大火力から始まることです。電源ケーブルの差込口が背面にあるため、表示サイズに奥行き10cmほど足して置き場所を見ておく必要もあります。

※この商品ページでは、同じ山善の1000Wモデル(EER-S100)も選べます。1400Wの YEN-S140 を選んでください。

コイズミ KIH-1406/C

向く揚げ物の温度を細かく決めたい。置く面積を小さくしたい。

向かない食卓で会話しながら使う。レビューの数を判断材料にしたい。

丸型で、置く面積が4台でいちばん小さい。

前機種比で20%削ったと公表されていて、「出しっぱなしでも景観を損なわない」という評価が並びます。揚げ物は7段階と最も細かく、調理キーで煮込み・揚げ物・加熱を選べます。弱点は、4台でいちばん騒音の指摘が集中していること(「うるさすぎて結局カセットコンロを使っている」という投稿もあります)。加えて、火力の設定を記憶しないこと、タッチ式スイッチが反応しにくくなるという報告(同じ症状で3台買い替えた人もいます)があります。レビューは40件なので、傾向がどこまで一般的かは分かりません。

ドリテック DI-217BK

向く一人分を温める・煮るのが中心。持ち運ぶ。ポータブル電源で使う。

向かない揚げ物をしたい。26cmのフライパンを使いたい。

A4より小さい幅・奥行き20.5cm、1.5kg。4台の中では別のジャンルに近い。

対応する鍋底は10〜16cmと小さい側で、底の小さな器具でも反応します(直火用の小型エスプレッソメーカーが使えたという報告がありました)。消費電力が1000Wでポータブル電源と相性がよく、車中泊での使用報告が目立ちます。弱点は、揚げ物ができないことと、発熱が天板の内側の線までで鍋が大きいと加熱ムラが出ることです。定温モードは800ml以上入れる指定で、一人鍋の量では沸き立って保温にならないという報告もあります。電源を切ってもコードを抜くまでブザーが鳴り続ける仕様には、強い不満が出ています。

パナソニック KZ-PH34-K

向く食卓に置いて会話しながら使う。炊飯まで任せたい。静かさに予算を割ける。

向かない手持ちの鍋で揚げ物をしたい。価格を抑えたい。

運転音を数字で公表している唯一の1台。

静かさが好評の中心で、火力は7段階と最も細かく、炊飯コース(1〜3合)と煮込みコースを持ちます。日本製で、天板は拭くだけで手入れが終わります。弱点は、価格が他の3台の約1.4〜1.6倍であること、小さめの鍋で火力が弱く感じるという声があることです。キーンという高い音が耳障りだという報告と、液晶にバックライトがなく操作パネルが見にくいという指摘もあります。

音と余熱の困りごとへの対処

  • 「思ったよりうるさい」。4台すべてで出ています。天板の下に何もない硬くて平らな面に置き、吸気口と排気口をふさがないこと。テーブルクロスや薄いマットの上だと振動が伝わって音が増え、ふさぐとファンの回転が上がります。煮立ったあとは火力を落として保温域に入れると、音も下がります。
  • 「切ったつもりが切れていない」。加熱を止めても天板は余熱で熱いままです。使い終わったら、天板が冷めるまで何も置かないこと。この1つだけ決めておけば足ります。

鍋をつつくか、揚げ物をするか

状況別の選び方。食卓で静かに使うならパナソニック、揚げ物の温度を刻むならコイズミ、鍋の大小を1台で回すなら山善、一人分と持ち運びならドリテック

  • 食卓に置いて、鍋を囲みながら使う → パナソニック KZ-PH34-K(約10,836円)。価格差は、会話にかぶる音を減らすための差額と考えると納得しやすいです。
  • 揚げ物の温度を細かく決めたい → コイズミ KIH-1406/C(約6,773円)。140℃から7段階。音の指摘は多いので、食卓よりキッチン向きです。
  • 大きい鍋も小さい鍋も、1台で回したい → 山善 YEN-S140(約7,480円)。タイマーが無いので、煮込みはキッチンタイマーと併用してください。
  • 一人分を温める・煮る。持ち運びたい → ドリテック DI-217BK(約6,723円)。揚げ物はできず、鍋底10〜16cmという条件を先に確かめてください。

電源を入れる前に、鍋の底を確かめる

  1. 手持ちの鍋の底に磁石を当てる。つかないもの(直火専用の土鍋・耐熱ガラス・アルミ・銅)は使えません。
  2. 鍋底の平らな部分の直径を測る。口径ではなく、底の実際に接する面です。選んだ機種の下限(ドリテックは10cm、山善は12cm)と上限に入っているかを見ます。
  3. 底に定規を当てて、反りを見る。すき間が1mmを超えるなら揚げ物には使わないでください。加熱調理でも3mmが上限で、反った鍋は弾かれることがあります。
  4. 置き場所を、本体サイズ+10cmで確保する。電源コードの差込口が背面にある機種は、その出っ張りぶん壁から離します。
  5. 最初の1回は、揚げ物の表示と実際の油を突き合わせる。表示は設定温度で、油がその温度に達したという意味ではありません。表示が出てから菜箸を入れて泡の出方を見ておけば、以後は表示を信用できます。底に凹凸模様のある鍋は、底が浮いてセンサーが正しく読めないので揚げ物に向きません。

関連記事

この記事のあとに、同じ「卓上で火を使う・使わない」と「鍋の条件」で続けて調べることが多いものを挙げておきます。

今すぐ選ぶ必要はありません。必要になったときに、こういう記事もある、くらいで大丈夫です。


数値や在庫は変わります。最終的な確認は、各商品ページでお願いします。

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